
こんな人に観てほしい:欲しがられると、断れない人へ

友達が新しいスニーカーを履いてきた日のことを、覚えていますか。
昨日まで見向きもしなかった型なのに、その友達の足元にあるというだけで、急にかっこよく見えてくる。人のものは良く見える。誰にでもある、ちょっと恥ずかしい心の動きです。
じゃあ、逆の立場になったことはありますか。自分のものを、誰かにまっすぐ欲しがられたこと。
これが、効くんです。欲しいと言われると、人は自分の価値を確かめた気になる。そして気づいたときには、断るという選択肢が手の中から消えている。
この作品は、その欲しがられる側に、あなたを座らせます。
まず、小悪魔に振り回されたい人。笑顔で距離を詰めてくる女の子に、主導権を最初から最後まで握られます。
次に、いけないと分かっている状況に弱い人。恋人が隣の布団で眠っている夜、恋人が携帯を取りに戻っている昼。ずっと、時計の針がうしろから追いかけてきます。
そして、一度でいいから誰かに本気で欲しがられてみたかった人。ここが一番大事です。
逆に、恋人を裏切る話がどうしても苦手な人は、少し身構えてください。タイトルからして、彼女にはできないけどセフレとしては最高、と言い切っている作品です。もちろん全部、画面の中だけのお芝居です。
あらすじ:恋人の親友が、隣で手を重ねてくる

主人公には恋人がいます。その恋人の家で、ちょっとした飲み会が開かれる。モールと風船で飾られたリビングに、遅れてやって来るのが、恋人の親友です。西宮ゆめさんが演じる、ゆめちゃん。
乾杯するなり、ゆめちゃんは恋人に拗ねてみせます。彼氏ができてから全然遊んでくれないじゃん、と。恋人のほうは余裕の返しです。
「まあラブラブですから」
ゆめちゃん自身は、と聞かれれば「彼氏いないよ今」。
ここまでは、どこにでもある女友達の飲み会です。主人公は恋人の親友の前で照れてしまって、恋人が差し出すあーん、にも口を開けられない。
で、恋人がおつまみを作りにキッチンへ立った、その瞬間です。
ゆめちゃんが、すっと隣に寄ってくる。手に手を重ねて、のぞき込むように笑う。
「いいねー、彼女と仲良くて」
「羨ましいな」
キッチンには恋人がいます。数メートル先です。私はこのシーンで、なぜか背筋が伸びました。まだ何もしていない。手が重なっているだけ。なのに、これから何が起きるのか、もう分かってしまう。
その夜、車で来たのに飲んでしまったからと、ゆめちゃんは泊まっていくことになります。そして恋人が風呂へ行き、リビングに二人だけが残る。
白いパーカーにショートパンツの、風呂上がりのゆめちゃん。ずっと彼氏ができない、何がいけないんだろう、と悩みを打ち明けてくるんです。
「私ってダメなのかな」
そしてパーカーの前を開けて、胸が小さいか気にしているのだと言う。
「ちょっと触って確かめてみてよ」
パーカーの下は、何も着けていません。
ずるい。悩み相談の顔をして、入口だけはきっちり開けてくる。触れているうちにこちらが反応してしまうと、ゆめちゃんはそれを見つけて、本当にうれしそうに笑います。
「でも嬉しい」「魅力ないのかなって思ってたから」
この一言で、主人公は共犯になります。いや、されてしまう。そのまま口で果てさせられて、恋人が風呂から戻る頃には、ゆめちゃんはもう何事もなかったようにソファに座っている。そして、こう言うんです。
「ゆめも一緒の部屋で寝ていい?」
この人、まだ終わらせる気がない。
見どころ1:恋人の寝息の横で、「ここでしなきゃ」

照明を落とした寝室。恋人はベッドで眠り、主人公は床の布団にいる。そこへ、ツインテールに髪を結び直したゆめちゃんが起こしに来ます。
「ねえ、かまって」
起こし方が、完全に甘えん坊です。で、耳元に顔を寄せて、とっておきの報告をしてくる。
「今日すっごいエッチな下着つけてんだよね」
白いカーディガンを開くと、紫のレース。昼間の白いパーカーとはまるで別人です。泊まることが決まってから着替えたのか、最初から持ってきていたのか。私は後者だと思いました。この子は、たぶん全部計画している。
ここからが、この作品で一番心臓に悪い時間です。
すぐ後ろのベッドには、恋人がいる。寝返りを打ったら終わり。なのにゆめちゃんは、乳首を舐め、口で責め、顔の上に跨ってくる。声を殺さなきゃいけないのはこちらなのに、ゆめちゃんのほうは楽しそうに笑っている。購入者レビューでもこのチャプターだけで満点、という声がありましたが、分かります。バレたら全部が終わるという圧が、全身の血を一か所に集めてくるんです。
そして、ゆめちゃんが切り出す。
「エッチしちゃおうか」
さすがに主人公はためらいます。恋人が、そこで寝ているんですから。でもゆめちゃんは、あっさり聞き返してくる。
「ダメなの?」
そして、決定打。
「ここでしなきゃ」
今ここでしなければ、もう二度とできないかもしれないよ、と。
うまい。本当にうまい。期間限定、残りわずか、今だけ。人間が一番弱い言葉を、一番弱っているタイミングで差し出してくる。スーパーの閉店前に半額シールを見つけたときと同じで、理屈より先に手が伸びます。
ゴムを着けて、騎乗位で腰を沈めてくる。紫のレースは着けたまま。そして、自分から仕掛けておいて、念を押すんです。
「声出しちゃダメだからね」
それはこっちの台詞だ、と言いたい。でも言えない。声を出したら終わるのは、こっちなんですから。
すぐ後ろで恋人が眠っているというだけで、ゴム一枚越しの熱が、何倍にもなって伝わってくる。冷えた体で湯船に沈んだときの、あの逃げ場のない温かさです。
やがて主人公はゴムの中で果て、ゆめちゃんは外したそれを手に、にっこり笑う。
「いっぱい出たね」
使い終わったゴムを手に笑う親友と、その後ろで眠っている恋人。この画の背徳感は、ちょっと言葉にできません。それでもゆめちゃんは、何もなかったように服を着て、布団を掛けて、夜を終わらせる。
見どころ2:「焦らなくて大丈夫だよ」と言う人が、一番焦っている

後日、恋人とゆめちゃんが、主人公の家へ遊びに来ます。玄関で恋人が気づく。
「私携帯忘れちゃった」
今日は仕事の連絡が来るから、と。
「急いで取りに帰ってくるね」
先に上がっていて、と言い残して、恋人は出ていきます。玄関に、白い小花柄のワンピースのゆめちゃんと、二人きり。
「行っちゃったね」
そして、間髪入れずにこれです。
「ちょっと期待してるでしょ」
見透かされている。そこから先は、何も言わずにニコニコ見つめてくる時間が続きます。購入者レビューでも、玄関で見つめられ続けるくだりで死にそうになった、という声がありましたが、本当にそう。笑顔だけで、こんなに追い詰められるとは思いませんでした。そのうえで、あの夜のことは良かったか、と聞いて、自分はあのあと思い出して一人でしてしまった、と打ち明けてくる。そして、もう反応しているこちらを見て、楽しそうに笑う。
「さっきまで彼女一緒にいたのに」
「こんなになっちゃったんだ」
玄関で、手で責められる。イきそうになると「我慢して」と止められる。そしてギリギリのところで、ゆめちゃんは値札を出してくる。
「私のこと好き?」
「私とまたエッチしたい?」
「じゃああの子と別れてくれる?」
あの夜の「ここでしなきゃ」から、要求が一段上がっています。最初は胸を触って確かめるだけ。次は一晩だけ。そして今度は、恋人そのもの。欲しいものの値段を、少しずつ吊り上げていく。
主人公は、受け入れてしまう。
「別れてくれるんだ」
じゃあ部屋で続きをしよう、とゆめちゃんは言います。
「早くしないと帰ってきちゃうから」
主人公の部屋で、ピンクの下着になったゆめちゃんは、向かい合って座ってこう誘います。
「一緒にオナニーして気持ちよくなろう」
見せ合いです。恋人がいつ帰ってくるか分からない部屋で。顔の上にお尻を乗せて、口で責めて。そこへ、電話が鳴る。
「彼女からでしょ」
で、ここからが、この作品で私が一番声を上げたところです。
ゆめちゃんは、電話に出るんです。携帯が見つかったと聞いて、よかった、と喜んでみせる。そして、何の淀みもなく続ける。
「彼氏はね、トイレ行ってるよ」
「大丈夫だよ。二人で待ってられるよ」
コンビニに寄るなら氷を買ってきてくれたら嬉しいかも、と頼み事まで付け足して、最後に、こう言うんです。
「焦らなくて大丈夫だよ」
鳥肌が立ちました。焦らなくていいと言われたのは、恋人。でも本当に焦っているのは、どう考えても電話のこっち側です。親友を気遣う完璧な声で、自分が欲しいものを奪う時間を延ばしている。電話を切ったゆめちゃんは、楽しそうに報告してきます。
「もうすぐ帰ってくるって」
そして、ささやく。
「いいの? こんなことしてて」
それを、あなたが聞くんですか。
最後に:欲しがられることは、こんなに気持ちいい

「もう我慢できないし」
今度は、ゴムを着けません。
「生で入っちゃったね」
あの夜はゴム一枚を隔てていた熱が、今度は直接くる。対面座位で顔が近づくたびに、ゆめちゃんは目を細めて笑う。背中を向けて腰を振り、また向き直って、脚を開いた体勢で見せつけてくる。
「入ってるとこよく見える?」
そして、最後の値札が出ます。中に出したいか、と聞いておいて、すぐには許さない。
「彼女と別れてくれたら」
「中に出してもいいよ」
「別れてくれる?」
答えは、もう決まっています。
「じゃあ出してもいいよ」
ここで私は、ようやくこの作品の正体が分かった気がしました。ゆめちゃんが本当に欲しかったのは、主人公の体なのか。それとも、親友が持っているものを自分のものにする、その瞬間なのか。最初にリビングで聞いた「羨ましいな」が、この「別れてくれる?」のために置かれていたように思えてくるんです。
全部終わったあと、ゆめちゃんは笑いながら、ちゃんと恋人と別れてね、と念を押します。そして、別れてくれなかったら、と前置きして。
「もう知らないからね」
かわいい。かわいいのに、怖い。
この作品を観終えたあと、あなたはきっと思います。欲しがられるって、こんなに気持ちいいんだ、と。そして、欲しがってくる相手が、本当は何を欲しがっているのかを見抜くのは、こんなに難しいんだ、と。
人のスニーカーが良く見えたあの日のことを、思い出してください。あの日のあなたは、スニーカーが欲しかったのか。それとも、友達が持っているものが欲しかったのか。
ゆめちゃんは、たぶんその答えを知っています。
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