
こんな人に観てほしい:痛かったら言ってくださいと言われても、つい大丈夫ですと答えてしまう人へ

整体でも、歯医者でも、マッサージでも。始まる前に、必ず言われる一言があります。痛かったら言ってくださいね、というあれです。
で、あなたは痛くても言わない。分かります。私も言いません。肩甲骨の奥をぐりぐりやられて、内心では、いやそこ痛い、と叫んでいるのに、口から出るのは、大丈夫です、の一言。終わったあとで、ちょっと揉み返しが来る。それでも次の予約を取って、また同じ返事をする。
遠慮って、たぶん癖なんです。言っていいと言われても、言わない。相手が困るかもしれないし、わがままだと思われるかもしれない。そうやって、言いたいことを飲み込むのが上手になっていく。
この作品に出てくるのは、その一言を客にかける側の女の子です。しかも、言った本人が、最後には誰よりも遠慮しなくなる。
大きな胸に目がない人。ぎこちない新人さんに弱い人。それから、言いたいことを飲み込む癖がついてしまった人に観てほしい。最後の店を出るころには、たぶんあなたの中の何かが少しゆるんでいます。
逆に、手練れの風俗嬢に完璧に転がされたい人には、前半は少しもどかしいかもしれません。購入者レビューでも、台詞が棒読みだという声がいくつも出ています。ただ、その同じレビュー欄に、新人さんだと思えばむしろ初々しい、という声も並んでいる。私は、後者の見方に一票を入れます。理由は、この先で話します。
あらすじ:今日が初めての新人が、三つの店で待っている

山手梨愛さんの、S1 VRの作品です。作品説明がAV界ナンバーワンのボディとうたうIカップの彼女が、おっパブ、メンズエステ、ソープ(お風呂とマット)の三つの店でもてなしてくれます。3シチュエーション4コーナー。筋書きはそれだけです。
一軒目のおっパブ。紫の照明に、銀のすだれが下がった黒い部屋。ピンクの網目のボディスーツを着た彼女が隣に座り、挨拶をして、それからこう言うんです。
「今日が初めてです」。
この一言で、私の中で見立てが決まりました。この子は新人だ。今日が初出勤の、まだ店のことも客のこともよく分かっていない女の子だ、と。
二軒目はメンズエステ。白い梁の天井の明るい部屋で、白い透けたホルターネックの上下に着替えた彼女が、施術の前にあの一言を言います。「痛かったりしたら遠慮なく言ってくださいね」。
三軒目はソープ。湯船に浸かっているところへ、白いレースのガウンを羽織った彼女が「お湯加減どうですか?」と入ってくる。湯の中でこちらに背を預けて、胸を触られながら、「恥ずかしいです」「あんまり慣れてないんで」と言う。
ほら、新人でしょう。店が変わっても、この見立ては最後まで崩れませんでした。
そして最後が、ソープのマット。銀色のエアマットと、ローション。作品の締めくくりであり、購入者レビューでもここを推す声がいちばん多い。ある人は、マットにたどり着く前にゴーグルをつけたまま眠ってしまったと書いていました。正直に言って、その気持ちは分からなくもない。でも、寝た人は損をしています。この作品は、最後の店で別物になるので。
見どころ1:決まりを作った本人が、真っ先に破る

前半の彼女は、とにかくよく質問をします。「何歳に見えますか?」「どうして欲しいですか」「力加減はどうですか」「何されたいですか?」と、接客のマニュアルを一行ずつ確かめているような話し方で、確かに、棒読みと言われる理由は分かる。
ところが、このマニュアル通りの新人さん、ルールを守る気がまったくないんです。
おっパブで、網目をずらして胸を出し、こちらのものを口で咥えたあと、今度は彼女のほうから持ちかけてきます。
「エッチしないですか」。
おっパブで、です。そして「二人だけの秘密」と念を押して、跨ってくる。今日が初めての新人が、いきなり店の決まりを破りにいく。しかも先に達してしまうのは、彼女のほうなんです。
で、ここで彼女が急に「誰か来ちゃった」と言い出す。慌てた様子で「隠して」と言い残し、様子を見に行く。この瞬間の彼女がいちばん人間らしくて、私は思わず笑いました。マニュアルにない事態です。
戻ってきた彼女は、声が大きかったかなと気にしつつ、「でも聞こえてないから大丈夫だよ」と言う。本当ですか。でも本人がそう言い切るので、こちらも信じるしかない。そして彼女は、「さっきは私ばっか気持ちよくなったから」「お兄さんのことも気持ちよくしてあげる」と、乳首を舐めながら手でしごき、最後は胸で挟んでくる。悪びれる気配がない。作品説明には、にんまり笑ってこっそり挿入してしまう、むっつりな子だと書いてあります。たぶん、こういうところのことです。
メンズエステでも同じことが起きます。
施術が脚から尻へ移って、彼女は四つん這いで、白いTバックの尻をこちらの顔の前に置く。目の前にあるんです。触りますよね。すると彼女は、きちんとたしなめる。
「お触り禁止ですよ」。
ところが、さすがプロだと感心する暇もなく、次の一言が来ます。
「そんなに褒めてくれるんだったら、少しだけならいいですよ」。
早い。折れるのが、あまりに早い。決まりを口にした本人が、褒められた途端に自分で決まりを外している。
ここから彼女は、白いトップスにオイルを垂らし、「透けてきたね」と、濡れた布が張りついた胸を見せつけてきます。「しっかり見ててね」。白い布越しに肌の色が浮いてきた胸を、顔の前まで運んでくる。見ている側の喉が鳴る瞬間です。
手で責めながら「我慢してくださいね」と言い、カウントダウンで我慢させて、「よく我慢できましたね」「エッチな人好きですよ」「じゃあご褒美あげるね」と続ける。施術室の主導権は、完全に彼女の手の中にある。
整理しておきます。おっパブではしてはいけないことを自分から持ちかけ、メンエスでは自分で言った禁止を自分で解く。決まりの内側にいるはずの新人さんが、真っ先にそれを破るんです。棒読みに聞こえる接客の台詞は、その前振りにすぎなかった。
見どころ2:質問ばかりしていた新人が、最後は注文をつけてくる

思い出してください。メンズエステの冒頭で、彼女は言いました。「痛かったりしたら遠慮なく言ってくださいね」。
この一言は、そのメンエスの後半で、もう一度効いてきます。騎乗位で腰を沈めた彼女が、下から突っついてください、とこちらに頼んでくる。それから、「もっと奥」と続ける。
遠慮なく言っているのは、彼女のほうでした。施術する側が、客に注文をつけている。
ソープのお風呂では、また質問に戻ります。「お湯加減どうですか?」「何されたいですか?」「どんな感じに責められたいですか?」と聞いてくる。こちらが湯船から腰を浮かせると、彼女は口で咥え、胸で挟む。丁寧で、優しくて、やっぱりどこか慣れていない。
そしてマットです。
最初のうち、彼女はほとんど喋りません。ローションまみれの体で、こちらの上を長い時間をかけて滑っていく。彼女の胸が、こちらの胸の上を、腹の上を、ぬるりと通り過ぎていく。冷たいはずのローションが、彼女の体温を乗せて流れてくる感じがする。尻を顔の前に運んで、伏せたまま口で咥えて、胸で挟んで。静かで、淡々としている。ここで眠ってしまう人がいるのも、まあ分かります。
でも、跨って挿入した瞬間から、空気が変わる。
もっと奥。そこが気持ちいい。もっと激しくして。質問ばかりだった口から、注文が次々に出てくるんです。そして一度達したあと、彼女はこう言います。
「まだ終わりたくないです」。
続けて「もっと気持ちよくなりましょう」「こっちに来て」と言って、彼女はこちらに覆いかぶさるように体を倒してくる。顔がすぐ目の前にある。目を閉じて、口を開けて、声を上げ続けている。前半の、マニュアルを確かめるような笑顔はもうどこにもない。
正直に言うと、私はこの「まだ終わりたくないです」で完全にやられました。お客さんに言う台詞じゃないんです。これは、自分のための言葉です。
しかも、話はまだ終わらない。こちらが出したあと、口できれいにしてから、彼女のほうからこう持ちかけてくるんです。
「もう一回戦しましょう」。
二回戦をねだっているのが、嬢のほうです。二回戦は後ろから始まり、最後は彼女が仰向けになって正常位へ。両腕をマットに広げて、もっと激しく突いて、と求める。購入者レビューにも、終盤の彼女のおねだりが可愛い、という感想がありました。本当にその通りでした。
前半のぎこちなさを棒読みと呼ぶなら、このマットの後半の声は、どう聞いても棒読みではありません。台本を読む余裕が、もう彼女に残っていない。私はむしろ、前半のぎこちなさがあったからこそ、この崩れ方が効いてくるんだと思います。マニュアル通りに質問していた新人さんが、最後には、自分の欲しいものをそのまま口にしている。その落差を味わうための前半だったんです。
最後に:遠慮なく言っていいと言われたら、言っていい

全部が終わったあと、彼女は言います。
「お互い気持ちよくなりすぎましたね」。
お互い、なんです。サービスを受けたのはこちらのはずなのに、彼女も同じだけ受け取っている。むしろ、最後の店で遠慮なく言っていたのは、彼女のほうでした。
そして、最後の最後に、また質問をする。
「一緒に横になりませんか」。
おっパブで何歳に見えるかを聞き、メンエスで力加減を聞き、ソープでお湯加減を聞いていた子が、最後に聞くのがこれです。接客の確認じゃない。誘いです。同じ質問の形なのに、中身がまるで違う。
冒頭の話に戻ります。痛かったら言ってくださいね、と言われて、あなたはたぶん、これからも大丈夫ですと答えるでしょう。それでいいんです。遠慮は優しさでもあるので。
でも、この作品を観終えたあと、ふたつだけ思い出してほしい。遠慮なく言ってくださいね、と言った新人さんが、最後に誰よりも遠慮なく言っていたこと。そして、それを聞いているあいだ、こちらはちっとも嫌じゃなかったこと。
言っていいと言われたら、言っていいんです。たぶん相手は、それを待っています。
この作品を購入する
