
こんな人に観てほしい:「彼氏いる」と先に釘を刺してくる女が、一番危険だと知っている人

合コンで、宅飲みで、開口一番に「私彼氏いるんで」と先に予防線を張ってくる子、いますよね。普通に考えればそれは「線を引かれた」サインです。
でも、経験のある人だけが知っている逆説があります。本当に何もない女の子は、わざわざそんなこと言わない。先に釘を刺してくるということは、自分でも釘を刺さないと危ないと分かっているということ。本作は、その釘が、二時間で溶けるところを見せてくる作品です。
あらすじ:終電と、祝日と、タクシー2万4000円

女優は花守夏歩。メーカーはP-BOX VR。
舞台は大学の釣りサークルの飲み会。先輩が「毎日2時間やろうぜ、全員行くよな」と押し切って始まり、深夜まで続いた飲み。終電組が帰り、僕の家には学園のマドンナ・夏歩と二人だけが残る。普段は大人しく真面目で、男子からの人気もトップクラスのアイドル的存在。
夏歩はこちらに釣りの話ばかりしていたことを軽く責めながら、研究会への誘いをかけてくる。「飲み会にしか来ないじゃん。研究会も来てよ。来週月曜の研究会、来る?ワンチャン会えたらいいね」。これだけでもう、こちらの一週間の予定は決まってしまうレベル。
──ところが、彼女が時計を見て言うんです。「やば、もう電車ないんだけど。今日祝日でさ」。タクシーを調べたら2万4000円。「2万円ちょうだい?教えてくれなかったじゃん、今日祝日だよって」。何もしてないのに先制で金を要求される理不尽。そして決め台詞。
「始発まで付き合ってもらっちゃおっかな」。
ここから76分の長い夜が始まる。
見どころ1:「彼氏いるからね」と「タイプの顔かも」の距離

新しい酒を見つけて、二人で乾杯。ここで彼女が先制パンチを打ってくるんです。
「てか私、彼氏いるからさ。変なことしないでよ。彼氏いるからね、分かった?」
これね、聞いてください。「彼氏いる」を一回じゃなくて、二回繰り返すんです。「彼氏いるからさ」「彼氏いるからね」。念押しの形。普通に考えたら距離を取られている。
しばらくして、夏歩は寝落ちする。目を覚ますと、酒の度数を確認する。「これ何度?25度なんだけど」。ここから全部の伏線が裏返ります。
「ねえ、私酔わせてどうするの?」
このセリフ、知ってる人もいると思います。でも実物を聞くと、文字で読むのとは違う。こちらが答える前に、向こうが勝手に質問を畳みかけてくるんです。「ねえ、どうするつもり?」。続けて、ふわっとこう言う。
「酔っ払ったー、ちょっとタイプかも」「酔っ払ってるからかなー、なんかちょっとタイプの顔してるー」。
これがこの作品の核です。「酔っ払ってるから」という言い訳を、自分の好意の上に被せる。素面では絶対言わない、でも今ならセーフ。自分にもこちらにもアリバイを作りながら、本音だけ通してくる。「ねえ私のこと好き?」「私のことは?」「もう一回」。気づけばこちらから手を出す前に、夏歩のほうから唇を寄せてきて、自分から「もう一回」と言って続行する。「私が好きなチューの味するー」。
「彼氏いるからね」と「タイプの顔かも」の距離、たった二時間。この崩落の速度が、この作品の醍醐味です。
見どころ2:「絶対待っててよ、寝ちゃダメだからね」

ベロチューと乳首責めから、夏歩は自分から動き始めます。
「乳首触ったのとチューだけでこんなになっちゃったの?」と勃起確認、ズボンを下ろさせて、超至近距離でフェラ。カメラに自分から「もっと近くで見て」と寄ってくる距離感の狂い方。「しょっぱいの美味しい」と笑い、口内射精。「いきなりいっぱい出たね」「苦いー、でも、お酒のつまみみたいになるかも」。酒のつまみとして精液を語るマドンナ。さっきまで「彼氏いるからね」と言っていたのと同じ口で。
そしてここで、この作品で一番ぞくっとする一言が来ます。
「私にもしてほしい。でもその前にシャワー浴びたい」「絶対待っててよ、寝ちゃダメだからね」。
シャワーに行く前の念押し。これが、最初の「彼氏いるからね」の念押しと、構造として完全に同じなんですよ。同じトーンで言うのに、念押ししている内容が逆転している。最初は「触るな」と釘を刺し、いまは「逃げるな」と釘を刺す。同じ女、同じ声、同じ笑顔。
シャワーから戻った彼女に、ここから先は完全に主導権を握られる。「私が気持ちよくしてもらおう」と覆いかぶさってくる騎乗位。挿入のたびに「やっぱこのちんちん気持ちよすぎるかも」と確認のように言葉に出す。何度こちらが射精しそうになっても、「もう終わりみたいな顔してるけど終わりじゃないよ?まだまだするよ」と止めてくれない。
最後に:始発が来る朝の、不思議な静けさ

夏が朝に変わる頃、夏歩は呼吸を整えながら、無防備な顔でこちらに笑いかけてきます。
何度も中で出された後の、満足そうな顔。昨夜「彼氏いるからね」と二回念押しした女の、いまこの顔。同一人物のはずなのに、別の人を見ている気がする。そして、たぶんこれが、本当の彼女です。素面のときに被っていた仮面は、釣りサークルで先輩相手に保たれていたものに過ぎなかった。
観終えたあと、あなたはたぶん、「彼氏いるんで」と笑った誰かの顔を、勝手に思い出すことになります。あの一言は、距離を取る言葉ではなかったかもしれない。むしろ、何かが起きうると本人が一番分かっているサインだったのかもしれない。──そう疑い始めた瞬間に、この作品はあなたのものになる。次の飲み会、自分が誘うか、誘われるかが、少しだけ楽しみになる夜がきっと来ます。
