
こんな人に観てほしい:断る理由を、先回りして潰されたいあなたへ

距離感がおかしい人、身近にいませんか。悪気はまったくないんです。ただ、こちらが「近いです」と言うより早く、向こうが「気にしすぎだって」と笑って終わらせてくる。理屈で勝てないんですよね。相手のほうが自然体だから、意識しているこっちが変な人みたいになる。
この作品の彼女は、その完成形です。近づいてくる理由を毎回ちゃんと用意している。従姉妹だから。酔ってるから。可愛いから。ひとつずつは全部ふつうの言い分なのに、積み重ねられていくと、こちらが逃げる場所がひとつもなくなっている。自分から動けないタイプの人ほど、この構造にやられます。断らせてもらえないというのは、実はものすごく楽なんです。
あらすじ:5年ぶりの従姉妹は、酒臭かった

夜のリビングに、宮下玲奈が演じる従姉妹の玲奈がやってきます。「あれ、5年ぶりだっけ?」「なんか大人っぽくなったね」。こちらが何か言う前に「え、酒臭い?」と自分から先に言い出して、そのまま「でもさ、飲み足りないから付き合って欲しいんだよ」と居座る。白いブラウスから部屋着のタンクトップに着替えて、テーブルに瓶を並べ、当然のように乾杯します。
酒が回ると、彼女はやたらと手を触れてくる。その手をふと止めて、こう言うんです。「ああ、いつもの癖なんだよね」。それから、決定的なひとこと。「まあ、いとこだし大丈夫でしょ?」。この免罪符を先に置かれると、こちらはもう何も言えません。酒に弱いこちらが先に潰れると、「寝たら?」「ブランケット持ってきてあげようか」と世話まで焼いてくる。優しさの形をしたまま、彼女はもう距離を詰めきっています。
見どころ1:寝たふりが、いちばん危ない

横になったこちらに毛布をかけて「おやすみ」と言った彼女が、そのあと何をするか。顔を近づけてきて、キスをするんです。しかも一度で終わらない。「寝てていいよ?」と言いながら続ける。ここが本当にずるくて、彼女は逃げ道を用意した形で全部やっている。寝ていていいと言われたら、こちらは起きるに起きられない。
そのうち、彼女はこう聞いてきます。「もっといっぱいチューしていい?」。許可を取る形なのに、聞きながらもう始まっている。20cmの距離で目を合わせたまま、唇が触れて、離れて、また触れる。この作品はキスの場面をひとつも端折りません。舌が入ってくるタイミングも、いったん離れて視線だけで確認してくる間も、全部、実際の間合いのまま収められています。身体に触られるより先に、顔で追い詰められる時間が延々と続く。
見どころ2:バレたことを、彼女は面白がる

こちらの身体の反応に気づいた彼女の第一声が、これです。「なんかムクムクしてきたね」。責めるでも照れるでもなく、ただ面白がっている。「見ていい?」と聞いて、返事を待たずに毛布をめくって、「すごいことなってるじゃん」。寝たふりは、この瞬間に完全に終わります。
そこからの彼女は容赦がありません。舐めていいかと形だけ尋ねて、返事を待つ素振りも見せずに顔を伏せていく。一度出したあとも「イくの早かった?」「ずっとビンビンだね」と観察を続け、二度目が終わると「もしかして絶倫?」と楽しそうに言う。そして「どうする?この後」「飲み直す?」「それとも…」と選択肢を並べておいて、こちらが答える前に「だよね」で自己完結する。この人、最初から最後まで一度も許可を待っていないんです。それでいて形だけは全部こちらに聞いてくる。優しいのか意地悪なのか、区別がつかないまま寝室へ連れて行かれます。
最後に:「本当はダメ」だと、彼女は知っていた

寝室での彼女は、リビングにいたときより静かです。水色のキャミソール姿で、目を閉じたまま長いキスを続ける。息が上がってくると、頭の上で腕を組んで身を任せてくる。あれだけ主導権を握っていた人が、途中から言葉数を減らしていくのが妙に生々しい。
そして最後、こちらの顔を見て「本当はダメだけど」と前置きしてから、少し間を置いて、こう続けるんです。「可愛いからしちゃった」。ダメなのは分かっていた、と彼女はここで初めて認めます。あんなに堂々と「いとこだし大丈夫でしょ」と言っていた人が、終わってから、ダメだったことを白状する。それを悔いるでも謝るでもなく、「分かった?」「ならよし」と勝手に片付けて、「最後もう一回チューしよう」と唇を寄せてくる。
観終わったあと、あなたの頭に残るのは行為そのものではなく、あの「ならよし」のほうだと思います。何ひとつ解決していないのに、彼女の中では全部が丸く収まっている。彼女のあの理不尽な押し切り方をもう一度浴びたくて、たぶんあなたは冒頭の乾杯の場面から観直すことになります。
