
こんな人に観てほしい:セフレを、うまく切ったつもりでいる人

セフレを終わらせたことがある人。これから終わらせようとしている人。
嫌いじゃない。飽きたわけでもない。ただ、このままじゃ前に進まない。相手は不満も言わない。だから自分で決める。今日で終わり。もう会わない。理由はちゃんとしてる。お互いのためだ、と自分にも言える。
あなたは、これでよかったと思っている。切られたほうは、二週間後もまだ終わっていない。この作品は、その話です。美園和花さんが演じる和花は、切られたほうです。観るときは、切ったほうの顔で観てください。うまく切れたつもりでいる、その顔で。
あらすじ:「鍵のことだけだったでしょ」

始まりは、居酒屋で和花をナンパして、そのままホテルへ行った。それから二年。和花というセフレがいる。嫌いでもない。飽きたわけでもない。ただ前に進めない。あなたは、今日のセックスが終わったら終わりにしようと思っている。寝室で、和花は笑っています。
「今までで一番よかったかも」
沈黙のあと、あなたが切り出す。好きな人ができた、と。彼女ができたわけじゃない、と。和花は、自分が何かしたのかと聞いてくる。嫌いになったのか。そうじゃないなら、まだ会いたい。わかった、と言って、ピンクの下着を着て部屋を出る。あなたは、これでよかったと思う。ごめん、和花ちゃん。幸せになって。
二週間後、あなたは高熱で動けない。そこに和花が戻ってくる。水色のキャミソールに白いスカート。持ってきたのは鍵です。
「ごめん、突然来て」
「これ、鍵返すの忘れてたから」
「連絡返してくれればよかったのに」
「鍵のことだけだったでしょ」
和花は、鍵を返すだけのつもりで来た。熱を見た瞬間、声が変わる。「めっちゃ熱あるじゃん」。「冷たい?」。ちゃんと寝なきゃダメだよ、と看病する。和花がキスする。「つい癖で」「嫌だった?」。もう一回だけしていい、と和花が聞く。二週間ずっと考えていた、と言って、こう言うんですよ。
「やっぱりもう会えないのなんてやだよ」
唇が好きなんだろうな、と呟きながら、熱が下がっていることを確かめる。和花の手が、そのまま体に触れていく。フェラをして、今日で本当の本当に最後にするから、最後にしてほしいと頼む。胸を触らせて、クンニで和花が先にイく。部屋に残っていたコンドームを確かめる。パイズリのあと跨って、途中で好きだったと告白する。終わったあと、また泣いて、もっと素敵な人を見つけて、と自分から別れを言う。
「なんて言ったの。もう一回ちゃんと言って」
「いいよ。付き合ってあげる」
「その代わり」
「もう泣かせないでね」
終わりにするはずだったベッドが、付き合い始めるベッドになる。
見どころ1:「まだ私で硬くなってくれるんだ」

二週間ぶりの部屋で、和花はまず熱を心配しています。「めっちゃ熱あるじゃん」「冷たい?」。ちゃんと寝なきゃダメだよ、と看病する。熱を見て、よかった。看病している最中なのに、キスが先に出る。つい癖で、と謝る。終わったはずの相手なのに、あなたの体はまだ反応している。
和花が手を動かしたとき、声が明るくなるんですよ。
「まだ私で硬くなってくれるんだ」
「嬉しい」
会わないと決めた女の子なのに、硬くなってくれる。
「ガチガチじゃん」
ダメだよ、こんなに硬くしちゃっていいの、とあなたに聞いてくる。「だってもう会わないって決めた女の子でしょ、あたし」
「いいの?」
会わないって決めたのは、あなたです。和花はそれを口に出してから、フェラを始める。出したあとに「いつもの味」と言って飲み干す。会わないと決めたあとも、味は同じだと言っている。
和花がクンニで先にイったあと、次に探すのはコンドームです。「すぐイッちゃった」。照れ隠しみたいに、部屋に残っているコンドームを探す。
「ねえ、あれまだ持ってる?」
「まだ持っててくれたんだ」
捨てていない。会わないと決めた部屋に、コンドームが残っている。パイズリをしながら「好きでしょ」「好きって言ってみたら?」と聞いてくる。大事なことには、あなたは答えない。答えの代わりに、また硬くなる。関係は切ったつもりでも、体は切れていない。 切ったはずの顔で観ているのに、切られたほうの気持ちが分かってくる。
見どころ2:「ずっと好きだったの」

あなたが入れる直前、和花は立て続けに聞いてきます。
「でもさ、なんでもう終わりにしようって言ったの?」
「ずるくない」
「なんで勝手に一人で決めちゃうの」
「このまま、こうやって、会えるだけでよかったの」
頼んでないよね、と念を押してくる。和花が望んだ終わりじゃなかった。あなたが一人で決めた。和花は、会えるだけでよかったと言っている。高望みはしない、と後でも繰り返す。そして「まだ立ってんじゃん」「冷えちゃうよ」。あなたは拒まない。和花の腰が落ちる。
で、ここからです。騎乗の途中で、和花は目を見て告白します。
「ずっと好きだったの」
「付き合えるんじゃないかって」
「初めは思ってて」
「でも好きって言ったら」「終わっちゃいそうで」「怖くって」
「ずっと言えなかったの」
二年間セフレのままだった理由を、あなたは勘違いしていた。和花が黙っているのを、不満がないんだと思っていた。違う。好きと言えなかっただけです。
「もう死ぬまでこのおちんちんしか絶対ないと思う」
「他の人に入れられるくらいなら、私、もうセックスしたくない」
「いいよ中にちょうだい」と頼んで、和花は一回目を奥で受け止める。二回目は「ねえ、最後に正常位しよ」「動いてほしい」。正常位を頼む。終わったあと、また泣いて謝る。「ごめんまた泣いちゃったね」。もっと素敵な人を見つけて、絶対幸せになるから、心配しないで。自分から別れの言葉を全部言ってしまう。
「なんて言ったの。もう一回ちゃんと言って」
「いいよ。付き合ってあげる」
その代わり、もう泣かせないでね。絶対幸せにしてね。大好き。
切ったはずの関係が、あなたの一言で、付き合う関係になる。観終わったあと、先に残るのは興奮じゃない。昔、自分が切った相手の顔です。
最後に:鍵を返す日に、熱を出すな

鍵を返せば終わり、だと思っている人ほど、この作品は刺さります。鍵を返す。連絡を切る。理由は立派。相手は大人だから分かってくれる。分かってくれます。分かったうえで、二週間後に鍵を返しに来る。そして熱を見る。
美園和花さんの怖いところ。泣きながらも、二年間の体を全部覚えている。最後まで目を逸らさない。和花に、好きでしょ、と聞かれる。言葉では答えない。体が答えてしまう。和花は、その答えを見てくる。
観終えたあと、あなたはきっと、昔うまく終わらせたつもりになっている誰かの連絡先を、一度だけ開いてしまう。開くなとは言いません。ただし、鍵を返しに来た日の、和花の顔も一緒に思い出すこと。和花は、その顔を最後まで見せてくれます。
