
こんな人に観てほしい:AVのインタビューを、毎回早送りしている人へ

正直に言ってください。AVの冒頭のインタビュー、飛ばしてますよね。
私も飛ばします。好きな食べ物、休日の過ごし方、初体験はいつ。聞いたそばから忘れる情報が続いて、早く本題に行ってくれと、指が勝手にシークバーへ伸びる。合コンの自己紹介と同じです。五人目あたりから、誰が猫派で誰が犬派だったのか、もう分からない。
この作品の前半は、その自己紹介です。しかも百問百答。購入者レビューにも、長い、つまらない、という声がある。分かります。私も最初は、いつ飛ばそうかと様子をうかがっていました。
でも、この作品だけは飛ばさないでほしい。理由はひとつです。あの百問の答えのいくつかが、最後のベッドの上で答え合わせされるから。
新しく知った女の子のことを、プロフィールからちゃんと知りたい人。可愛い子がにこにこしながら一生懸命やっている姿に弱い人。そして、前半に置かれた何気ない一言が後半で効いてくる構成に、ゾクッとくる人に観てほしい。
逆に、激しいプレイや絶叫のような喘ぎを浴びたい人には向きません。レビューにもあるとおり、本番はおとなしめです。彼女のエッチは叫ぶ系ではなく、ずっと笑っている系。そこを分かったうえで観れば、この作品はちゃんと刺さります。
あらすじ:元タレントが、自分のことを百問かけて紹介する

中森心々奈さんの、S1 VRでの初めての作品です。タイトルどおり、ストーリーはありません。作品まるごとが、彼女の自己紹介です。
白い透けたワンピースで革のソファに座った彼女は、「初めてなんですけど頑張ります」と挨拶して、「今日は私のことを知ってもらうために」と百問百答を始めます。
パーソナル編、食べ物編、ファッション編、恋愛編、エッチな質問編。第一印象はちょっと怖いと思われがちで、仲良くなると「ちょっと抜けてるって言われることが多いです」。自覚している癖は「話す時に手が動いちゃうことです」。実際、答えているあいだ、彼女の両手は胸の前で合わさったり、大きく広がったりと忙しい。言われたら無条件で喜ぶ言葉は「シンプルに可愛いね」。犬を飼っていて、生まれ変わるならお金持ちの犬。途中には、踊れという無茶振りまで飛んできて、照れ笑いでかわします。
エッチな質問編では、オナニーについて聞かれて「えーこれ聞いちゃうんだ」と笑ってから、ぼちぼち、と答える。業界での目標は「何かしらで一番を取ることです」。ちなみにこのレーベルの正式名は、エスワン ナンバーワンスタイル。就職先の選び方としては満点です。
百問を終えると、今度は寝室で顔と体の紹介です。「ちょっと今日前髪切りすぎちゃったけど」と言いながら目や口を近づけて見せ、服を一枚ずつ脱いでいく。胸は「ちゃんと、もちもちでね」。お尻は「ちょっと恥ずかしいけど、まんまるです」。
全部を見せ終えた彼女は、「うまくできるかわかんないけど、精一杯頑張ります」と言って、ベッドへ向かいます。白いベッドで全裸の一戦、青いビキニとオイルでもう一戦。それが、自己紹介の続きです。
見どころ1:「頑張ります」と言った子が、本当にずっと頑張っている

ベッドに上がった彼女の第一声は「じゃあチューしよっか」。覆いかぶさってきて、顔が視界をほとんど埋めるところまで寄ってくる。キスして、少し離れて、にこっと笑って、またキスする。この間合いの取り方を、購入者レビューで褒めている人がいました。私も同感です。キスのたびにいちいち笑うので、こっちまでつられて口元がゆるむ。
「じゃあ大人のキスもしちゃおっかな」。それから両手で胸を寄せて押し当てて、「当たってるの分かる?」。分かります。分からないわけがない。
そこから彼女は、「心々奈がペロペロしてあげる」を何度も繰り返しながら下へ降りていきます。自分の名前を主語にして、ペロペロ。言葉だけ取り出したら、聞いているこっちが照れくさい。でも本人は大真面目です。舐めながら顔を上げて、反応を確かめて、また笑う。
最後は口で受け止めて、口の中のものを手のひらに出して見せて、ひとこと「フェラうまくできたかな」。
ここで私は少し笑って、それから妙に胸が詰まりました。百問の中で、フェラは好きな方だと答えていた子です。好きなのに、うまくできたかは気になる。採点を待つ新人の言葉です。しかも答えを待たずに、「じゃあもっともっと頑張るね」と、またキスから始め直す。
これ、ずるくないですか。一回出したあとって、こっちは完全に休憩モードじゃないですか。そこに、もっと頑張るね、ですよ。休ませる気がない。でも嫌じゃない。部活の後輩に、試合が終わった直後にもう一本お願いしますと頭を下げられる、あの感じに近い。断れないんです。
乳首を舐め、手でしごき、こちらの顔にまたがって自分のことも舐めさせて、それから騎乗位で腰を沈めていく。正面、背面、また正面。動きは大きくありません。でも、ずっと笑っていた顔がふっとゆがむ瞬間があって、そこからまた笑顔に戻る。その往復が、何度も来る。最後は正常位で両腕をベッドに広げて「いっぱい出して」。
冒頭の「頑張ります」は、挨拶の決まり文句ではありませんでした。この子は最初から最後まで、本当に頑張っている。
見どころ2:最後の正常位で、百問の答えが本当になる

二戦目は、薄暗い間接照明の部屋です。青いビキニに白い透けたシャツ、白いシュシュでまとめたポニーテール。「実はね、いいの持ってきたんだよ」と取り出すのはオイル。胸をテカテカにして揉ませて、「いっぱいいっぱい気持ちよくして」。
この水着は、好みが分かれると思います。レビューにも、対面騎乗位で水着を着たままなのが不満だ、と書いている人がいました。私も途中までは、もう全部脱いでくれと思っていた。
ところが終盤、彼女が言うんです。「次は上からして」。ビキニのトップを取ってとねだって、仰向けになる。
ここで私は、百問の途中に引き戻されました。好きな体位を聞かれた彼女は、こう答えていたんです。「相手の顔を見たいので正常位です」。
自分で好きだと言った体位を、自分でリクエストしている。顔を見たいから、という理由つきで答えていた体位をです。見下ろした先で、彼女はこちらを見上げて笑っている。
答え合わせは、もうひとつあります。エッチな質問編で、気持ちよくなるとどうなるかと聞かれた彼女は、癖があって、ベッドのシーツのどこかを掴んでしまう、と答えていました。
最後の正常位で、彼女は両手を頭の上へ伸ばします。そして、頭上のシーツを握っている。
これを見た瞬間、鳥肌が立ちました。話すときに手が動いてしまう、と言っていたあの手が、今はシーツを掴んで離さない。インタビューで聞いた話を、本人が言葉ではなく体で証明してくる。こんな自己紹介、ありますか。
そして最後に、「出していいよ」。
最後に:自己紹介は、知ってもらえたかを聞くところまでがセット

この作品で、彼女は同じことを何度も聞いてきます。百問のあとに「どうですかね私のことを知っていただけましたか」。体の紹介のあとに「心々奈の顔と体は知っていただけたでしょうか?」。そして全部が終わったあと、もう一度「心々奈のこといっぱい知ってもらえたかな」。
答えは、はい、です。好きな食べ物はチョコと白米と卵で、ワンちゃんを飼っていて、お腹周りを気にしていて、好きな体位は正常位で、気持ちよくなるとシーツを掴む。私はこの子について、たぶん職場の隣の席の人のことよりも詳しくなりました。
人を好きになるきっかけは、だいたい顔か、肩書きか、たまたま聞いた一言です。でも気持ちが深いところまで残るのは、この人のことを知っている、という感覚のほうじゃないでしょうか。知っていると、同じ笑顔が、ただの可愛いでは済まなくなる。
百問の中で、言われたら喜ぶ言葉を聞かれた彼女は「シンプルに可愛いね」と答えていました。観終えたあなたは、きっとそれを言いたくなっているはずです。しかも今度は、ちゃんと理由つきで。
彼女の最後のひとことは「これからもよろしくね」。初対面の自己紹介は、本来そこで終わるものです。次に別の作品でインタビューを早送りしようとしたとき、あなたの指は、少しだけ止まるでしょう。
この作品を購入する

