
こんな人に観てほしい:本気の彼女ができない、でも誰かと朝を迎えたい人へ

恋愛は重い、結婚はもっと重い、でも一人で朝を迎えるのも寂しい。──そういう人に、セフレという関係は、最後の希望のように映ります。
昼間は他人、夜だけ恋人、朝はその余韻。本作は、その「朝の余韻」だけを切り取って渡してくれる作品です。ベッドの中、隣に女の体温があって、まだ眠そうな彼女が「もうちょっと寝かせて」と言う。それだけで、世界がしばらく止まる。
あらすじ:「もうね、いっぱい寝たからいいの?」

女優は今井栞菜。メーカーはFitch。
舞台は朝のベッドの上。前夜に久しぶりに身体を重ねた相手、栞菜が、すっぴんでこちらの隣で眠っている。いつものメイクなしの寝顔は、別人みたいに無防備。指先が勝手に伸びてしまう。彼女がうっすら目を開けて、こちらに言う。
「ちょっと寝かせてよ」「眠くないの?」「ね、だーめ」「もうね、いっぱい寝たからいいの?」「私まだ眠いの」
──朝の駆け引き。まだ眠い彼女と、もう起きてしまったこちらの間で、声のトーンが行き来する。「朝からそんなことしないで、もう」「だーめ、もういいよ、朝からは」と一応の抵抗。この抵抗が、朝の一番気持ちいい時間。本気じゃない、でも形としての「ダメ」を出してくる。
見どころ1:「私が舐めてもいい?」と立場を取りに来る

しばらく寝起きの攻防が続いたあと、栞菜は急に主導権を取り直してきます。
「私が舐めてもいい?」──眠そうにしていたはずなのに、いきなりリードに回る。寝起きの怠さが残った声のトーンのまま、フェラを始めてくる。起きるか起きないかの境目で、こちらだけ先に「現役の女」に戻ってくる。この温度差が、効きます。
フェラの途中で、ふと目線がこちらに上がってくる。しばらくぶりの再会を、彼女の身体の側が、行為のテンポでゆっくり確認してくる。間隔の空いていた身体を、もう一度馴染ませるフェーズが、ちゃんと時間をかけて描かれる。
そしてここでカメラがぐっと引いて、彼女の素肌のすべてを至近距離で確認できるシーンが続きます。「ちょっと、あんま見ないで」「見慣れない?」──何度も会っているはずなのに、いまだに見られるのが恥ずかしいところがある関係性。完全には慣れきっていない、距離感。これがセフレ関係の独特な距離。
見どころ2:「もう仕事行っちゃうの?」

挿入。笑いながら、彼女がこちらの上に乗ってくる。騎乗位の腰の動きが、目を覚ましきっていないような揺れ方。普段の彼女のテクニックではなく、寝起きそのままの身体が反応している。「気持ちよかった?」「また出ちゃう?」「出過ぎじゃない?」と、こちらの限界も観察しながら。
中出しの後、二人で歯を磨く。「ちゃんと磨いたよ?」「ちゃんと磨かないとスッキリしないでしょ」「あーんして、もう子供じゃないか」──生活感の挿入。セックスから歯磨きへの、この急なズーム引きが効きます。この子と、もしかしたら毎朝こんな時間を過ごせるんじゃないか、という錯覚を、生活描写が一つ入れるだけで生んでくる。
そして、歯磨きが終わったあと、出勤前の引き止め。「あー、もう仕事行っちゃうの?いつもそうじゃん」「もうすぐ行っちゃうの?」「いつもなんだかんだ、すぐ行くわけじゃないでしょ」──「いつも」。この単語が、彼女側から、自然に出てくる。毎朝この時間に同じやり取りをしていることが、最後で確定する。「いつも、なんだかんだ、すぐは出ていかない」を、彼女が知っている関係。「いつものペース」を、彼女が握っている朝。
最後に:朝、誰かが「いつも」と言ってくれる関係

栞菜は、彼女ではない。妻でもない。たぶん友達でもない。「いつも朝にこういうことになる相手」。それ以上の関係性を作らないままで、お互いに残ってきた。
観終えたあと、あなたはたぶん、自分のスマホの連絡先を眺めて思います。「いつも」と言える相手が、自分にも一人いてほしかったな、と。本作はその欠けたパーツを、64分だけ補ってくれる。朝の寝起きの、ただただ無防備な栞菜を見ているだけで、ある種のセラピーになる作品です。
