
こんな人に観てほしい:金曜の夜、帰りの電車で急に虚しくなるあなたへ

同僚と飲みに行って笑い合って、楽しかったはずなのに、一人になった途端スッと体温が下がる。SNSで昔のクラスメイトの充実した投稿を見て、自分には何が足りないのか考え込む夜。恋人はいなくてもいい、でも「この人がいるから大丈夫」と思える誰かが欲しい。そのくせ、そんな願望を口に出すのが恥ずかしくて、カッコつけて「一人が気楽」なんて言ってしまう。
この作品の主人公も、神様に何でも願えるチャンスをもらって、最強の剣でもドラゴン退治でもなく、「友達がいる世界線」を選んだんですよ。女神に「こんなに選び放題なのにこんなのでいいの」と呆れられながら。その気持ちが一ミリでもわかるなら、6時間の長旅に出る価値があります。
あらすじ:女神が「帰りたくない」と言い出した世界線

難病で死にかけた主人公が、天界サツキールで女神チナエールに出会います。「前世で成し遂げられなかった全てを手に入れろ」と言われて、最強の剣もチート魔法も並んでるのに、この男が選んだのは「女友達がいる世界線」。女神が真顔で「こんなのでいいの」と聞き返すのが笑えるんですけど、笑えない。だって痛いほどわかるじゃないですか、その気持ち。
で、転移したら7人の女友達がいた。しかもなぜか女神自身も一緒に落ちてきて、力を失った「元女神」として人間生活に参加する羽目に。彼女がどうなったか。表参道で服を買い、カレーを食べ、友達と喋り倒して、「天界よりこっちの方がご飯美味しい」と言い出した。天界の女神が人間のカレーに負けた。しかも「帰りたくない」と。この元女神のポンコツぶりが、全9コーナー・367分の物語を引っ張っていきます。
見どころ1:千羽鶴の病室で起きたこと

正直に言います、このパートで心臓を撃ち抜かれました。
骨折で1週間寝込んでた主人公が目覚めると、枕元に千羽鶴がある。ジュンちゃんがみんなで折ろうって言い出して作ったやつ。看護師になったこなつとりえが「みんな毎日お見舞い来てたんですよ」と教えてくれる。ここまではいい話です。で、身体を拭いてくれるんですけど、こなつが「高校生の時からずっと見てるんだから今更恥ずかしがらないで」と。この距離感。友達として裸を見慣れてるんですよ。
りえが「夜勤明けでムラムラしてるの」と直球で来る。普通なら笑うでしょう。でも笑えないんです。なぜかというと、千羽鶴が見えてるから。この子たち、折り紙を何百回も折りながらあなたが起きるのを待ってたんです。こなつが「毎日他の患者さん見に行っても、すぐここの病室戻ってきちゃうんだもん」って泣きそうな声で言う。
で、看護服をはだけながら「ずっとあなたが起きるの待ってたんですよ」って。
卒業式で泣きそうなのを必死にこらえたことありますか。目の奥が熱くて、喉が詰まって、でも泣いたら負けだと思って歯を食いしばるあの感覚。あれがそのまま性的な快感と混ざり合って、胸の奥から溢れ出してくる。エロいのに泣きそうになる瞬間がAVに存在するんだなって、私はこの病室で初めて知りました。こなつの騎乗位を見守るりえの笑顔。千羽鶴と、ナースコールと、窓から差す午後の光。こういうシーンを「エモい」の一言で片付けたくない。これは体験です。
見どころ2:セックスじゃんけんという名の大乱戦

鍋パ後のハーレムパート、最初は笑いから始まります。
純が昆布と鶏で出汁を取った鍋をみんなで囲む。「にんじんも食べるんだよ」と野菜を勧める純に「いいお嫁さんになるね」って誰かが言う。こなつはまた遅れてくる。「方向オンチだからじゃない?」「地図とか読めてなかった」「病室は結構迷ってる」とみんなが心配する。こなつ抜きの6人で鍋をつつきながら将来の話、仕事の話、恋愛の話。りえがイケメン先生の話をして「とりあえずやっちゃえば」と焚きつけられてる。これ、完全に女子会ですよ。
酒が入ると流れが変わる。「誰が一番エッチするのうまいか」勝負。順番は「セックスじゃんけん」で決める。この言葉の響きのバカバカしさに吹き出しながら、始まった瞬間に吹き出せなくなる。
6人が本気で「誰が一番」を競うんです。フェラ対決で「ちんぽ気持ちよすぎてクンニできないって」と実況が飛ぶ。「ぬるぬるだよ」「みんなのよだれついてる」と。で、アリスがセックスに入った瞬間、誰かが「アリスちゃんメスライオンの顔になってる」って。金髪で小柄なこの子が獰猛に腰を振る。「ちんぽ抜けちゃうよホントに」「肉食マンコに食べられちゃったね」と周囲が煽る。さっき一緒に鍋食べて「美味しいね」って言ってた口で。出汁を取った手で。人間の振れ幅ってこういうことかと、腹の底からゾクゾクさせられます。
で、勝負の果てに「じゃあ私にも入れて」「私一番最初に中出ししてない」と全員が主張し始めて、結局2周目に突入。終わらない。精子が共有財産の世界。この一体感を、あなたの下半身は覚えることになります。
最後に:迷子でも大丈夫

柏木こなつという女の子がいます。方向音痴で、いつも迷子になる子。学校で2時間迷子になり、テーマパークではぐれて一人で泣きそうになり、鍋パには遅刻する。みんなが「無事来れるといいけどね」と心配する。
テーマパークでこなつを見つけたとき、彼女は夜の石畳にしゃがんで「足がすくんじゃって動けなくて」と震えていました。隣にいてあげると「なんかすごい安心しました」と声が柔らかくなる。
そして6時間の物語の最後。病室のベッドに7人の笑顔が並ぶ。グレーのスウェット、ブルーのシャツ、黒のTシャツ。普段着の7人。こなつもいる。迷子にならずに、ちゃんと来た。
人生は迷路みたいなものです。正解のルートなんてないし、何度も同じところをぐるぐる回る。でも、帰る場所があれば大丈夫。この作品を観終わった後、あなたは少しだけ、人に優しくなれると思います。「友達がいる世界線」は、画面の向こう側だけにあるんじゃない。あなたが誰かに「大丈夫だよ」と言った瞬間、それはもう始まっています。
